ヤマタノオロチ退治に登場した剣を祀る
熱田神宮のご神体は、草薙剣(くさなぎのつるぎ)です。
これは天皇の「三種の神器」のうちのひとつで、このほかに
・八咫(やた)の鏡
・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
があり、三種の神器となっています。
天皇は新たにご即位した時、この天皇家に代々伝わる三種の神器を継承します。
八尺瓊勾玉だけは皇居内に納められており、
八咫鏡は伊勢神宮、
草薙剣は熱田神宮に納められています。
三種の神器は特別ですが、
他の神社も多くのご神体は本殿内に安置されていて、特別な儀式のとき以外めったに人前に現れません。
畏れ多い存在です。
神主でさえご神体のお姿を直接拝んだことがなかったり、
本殿に何が納められているか知らないという神社もあるくらいなのです。
ご神体の草薙剣は、出雲の神話のヤマタノオロチ退治に登場します。
高天原(たかまがはら)を追放されたスサノオノミコトは、出雲国の肥河(斐伊川)の上流の鳥髪(とりかみ、現奥出雲町鳥上)に降り立ったとき、泣いている老夫婦と出会います。
その夫婦はオオヤマツミの子のアシナヅチとテナヅチで、夫婦には八人の娘がいたのですが、
毎年ヤマタノオロチがやって来て娘を食べていき、今年もオロチのやって来る時期が迫っていて、このままでは最後に残った末娘のクシナダヒメ(櫛名田比売、奇稲田姫)も食べられてしまうと泣いておりました。
スサノオノミコトはクシナダヒメを妻として貰い受けることを条件に、ヤマタノオロチ退治を請け負います。
老夫婦には強い酒を用意し、垣を作って八つの門を作り、それぞれに酒を満たした酒桶を置くように言いました。
そしてヤマタノオロチがやって来るのを待って、8つの頭で酒を飲みはじめ酔って寝てしまったのを見はからってから、スサノオはヤマタノオロチを退治しました。
そのときスサノオノミコトの体内から草薙剣が出てきたと言われています。
ご祭神 主祭神 熱田大神(あつたのおおかみ)
天照大神(アマテラスオオカミ)
素戔嗚尊(スサノオノミコト)
日本武尊(ヤマトタケルノミコト)
宮簀媛命(ミヤスヒメノミコト)
建稲種命(タケイナダネノミコト)
ご利益 家内安全・無病息災・開運招福
907年、延喜式名神大社に列せられています。
明治元年(1868年)神宮号を賜り、熱田神社から熱田神宮になりました。
敷地は広大で別宮・摂社・末社も数多くあります。
熱田神宮は勇者の剣を祀っているため、天皇家をはじめとりわけ武家から篤く崇拝されていました。
信仰の篤かった武将は源頼朝や、織田信長などが代表的です。
織田信長が「桶狭間の戦い」に勝利した際、お礼として「信長堀」を奉納しています。